やってはいけない!特殊清掃員が解説する孤独死現場のタブー
警視庁のデータによると、日本では高齢者だけでも年間約6.8万人が孤独死しているというデータがあります。
最近では、単身世帯数も増えてきているせいか、私たち特殊清掃会社への依頼も年々増えてきています。
様々な方のご相談を聞いていますが、そのほとんどがやっていないタブーを犯しています。
今回は、ご遺族様・発見者様側がよくやってしまう孤独死現場のタブーについてお伝えしていきます。
また、特殊清掃員側のタブーや特殊清掃現場のあるあるについても解説しています。
あらゆる角度のタブーを知ることで、正しい孤独死対応や変な業者に遭わずに済むことができますので、ぜひ最後まで読んでください。
あるある?特殊清掃現場によく起こりうる状況
タブーについて触れていく前に、よく起こりうる状況のあるあるについて解説していきます。
大前提、特殊清掃が必要な孤独死現場において全く同じ状況は存在しません。
ですが、孤独死が発生するとご遺体の腐敗やニオイ・虫の発生など、どの現場もある程度同じような状態になっていきます。
蛆虫やハエなどの害虫が大量発生している
故人様の体液が腐敗すると、蛆虫やハエなど様々な害虫が集まります。
孤独死現場は害虫にとって、生存するのに適した環境が整っているため、発見が遅れた孤独死現場では大量の虫で溢れかえっています
孤独死現場が“悲惨”や“トラウマ”と言われている1つの原因が、大量発生した害虫の光景ともいわれています。
体液・血液・頭皮・髪の毛・皮膚が残っている
人間は心肺機能が止まると、腐敗が進行し液状化していきます
液状化した体液はベッドや床に染み込み、いわゆる“黒いシミ”と呼ばれるものになります。
孤独死は病気や自殺・転倒といった様々な原因で発生し、特に自殺現場においては、大量の血液が散乱していることも少なくありません。
また、警察がご遺体を引き上げる際に腐敗が進んでいると、皮膚が髪の毛が剥がれ落ちたり床や壁に張り付いたままの状態になります。
警察の役割はあくまでご遺体を引き上げるまでなので、現場にはそれらが残っている状態になります。
強いニオイが発生している
ニオイの強弱は、孤独死が見つかるまでの経過時間や気温・湿度によって大きく変わり、特に夏になるとニオイが強くなります。
夏に孤独死発見が多くなる理由の一つがこれです。
また、故人様の生前の体系や性別によっても変わってきます。
一般的には脂肪よりも筋肉の方が腐敗時のニオイが強く、女性に比べて筋肉質な男性の方が強いニオイを放ちます。
やってはいけない!ご遺族様・発見者側のタブー
孤独死現場には、やってはいけないタブーがいくつかあります。
ご遺族様・発見者側の目線で順番に解説していきます。
- 警察への通報を後回しにする
- 窓や扉を開けっぱなしにする
- 換気扇を回す
- マスクや手袋を着用しない
- ご遺族・相続人の許可なく現場を片付ける
- すぐに解体やリフォームを行う
- 周りに相談しない
警察への通報を後回しにする
孤独死発見時に、警察への通報を後回しにすることはタブーです。
もし、現場に事件性があった場合、警察の検死を行わずして現場に触れると容疑をかけられる可能性があります。
また、死亡届の提出や葬儀関係を行う際に死体検案書が必要になり、これを入手するためには警察の検死が必要となります。
後回しにしていいことは何一つとしてないので、孤独死を発見したらすぐに警察に通報しましょう。
窓や扉を開けっぱなしにする
ニオイを少しでも軽減させたいという思いから、窓や扉を開けっぱなしにする方は結構多いですがこれもタブーです。
理由は、害虫を必要以上におびき寄せてしまうためです。
虫はご遺体から湧き上がるのではなく、腐敗臭を嗅ぎつけ必ず外部から侵入してくることにより集まります。
窓や扉を開けるということは、虫たちに「ここに栄養源がありますよ」と知らせているのと同然になります。
また、近隣住民にも悪臭被害を及ぼしてしまうため、窓や扉は必ず閉め切りましょう。
換気扇を回す
換気扇も窓や扉と同様に外部との通路を作ってしまうため、回すのはタブーです。
さらに、換気扇を回すことによりニオイが一極集中してしまい、最悪の場合ダクトを交換しなければニオイを取ることはできないという事態に陥ります。
孤独死現では、換気扇がついている状態で発見されることもしばしばあるため、もし発見時に換気扇がついているのを見つけたらすぐに停止させてください。
マスクや手袋を着用しない
実は自分以外の体液に触れることは非常に危険な行為でありタブーです。
もし仮に故人様が生前に疾患持ちだった場合、体液に触れてしまうとそのまま感染してしまうとも言われています。
そんな危険な体液が孤独死現場では、部屋中に広がっています。
気温や虫の影響により、ご遺体付近だけでなくお部屋全体が汚染されています。
警察の検死後、もし部屋に入る際には必ずマスクや手袋など感染症対策を行ってから入室し、退出時には除菌を徹底して行います。
ご遺族・相続人の許可なく現場を片付ける
これは、管理会社さん・大家さん目線の話になりますが、ご遺族・相続人の許可なく現場を片付けるのもタブーです。
故人様のお部屋の中のものは、何も手続きがない状態だと相続人(パートナー、親、子、兄弟など)に所有権が移ります。
つまり、相続人の許可がないまま勝手に片付けると、他人の家の中を勝手に物色するのと同じ扱いになるため、訴えられたり犯罪に可能性もあります。
ちなみに、相続人に該当しない人が対応する場合も同様です。
現場の片づけを検討する方は、必ず相続人と話し合い、許可を得てから初めて着手てください。
相続人がわからない場合には、弁護士や司法書士の先生に相談するのが確実です。
すぐに解体やリフォームを行う
ニオイの元を早く断ち切りたいが故に、すぐにリフォームや解体を行うのもタブーです。
必ず専門家(特殊清掃)に清掃や消臭・除菌を行ってもらってから次の工程に移りましょう。
【今まであったリフォーム関係の問い合わせ事例↓】
Q.リフォーム後にニオイ少し残っているのですが取れますか?
A.取れません。どうしてもニオイを取りたい場合には、再度リフォーム前の状態に戻す必要があります。
Q.初めから解体するのはどうですか?
A.危険です。いきなり解体を行うと中にいる菌やウイルスが放出されるため、作業員に感染症のリスクがあります。
Q.早くリフォームをしたいです。
A.特殊清掃業者に依頼して、消臭・除菌作業をすぐに行ってもらってください。
周りに相談しない
周りに相談せず、一人で抱え込むことは最もタブーなことです。
孤独死対応は、清掃、片づけ、お金、相続、法律、葬儀など様々なジャンルの課題が複雑に絡み合っています。
これを一人またはご遺族様だけで解決することは不可能です。
抱え込まずに周りの知人や専門家に依頼し、協力を仰ぎながら少しずつ進めていきましょう。
やってはいけない!特殊清掃員側のタブー
続いて作業員側のタブーについて解説していきます。
作業員はお客様から信頼をいただき、作業を行います。
タブーを犯すということはお客様の信頼を裏切ることになる行為のため、絶対にやってはなりません。
- 感染症対策なしに現場に入る
- 個人情報を漏らす行為をする
- むやみやたらに汚染箇所を触る
- 現場で大声を出す
- 許可なく写真や動画をSNSに公開する
- 現金や貴重品を盗む
感染症対策なしに現場に入る
感染症対策なしに現場に入ることはタブーです。
前のパートでもお伝えしましたが、孤独死現場には菌やウイルスなど感染症になる危険性が多く潜んでいます。
特殊清掃を行う上で一番大切なことは、作業員の安全確保です。
作業時には、身体に菌やウイルスが付着しないように対策してから作業を行います。
【主な対策↓】
- 防護服
- 専用マスク
- 手袋
- 安全靴
- シューズカバー
- ゴーグル
- 除菌剤 など
個人情報を漏らす行為をする
故人様の名前や住所などを必要な人以外に公言することはタブーです。
個人情報とは主に以下のことを指します。
- 氏名
- 年齢や生年月日
- 住所
- 電話番号
- 通帳の残高
- 保険関係
- 写真
- 書類関係
- その他個人が特定できるもの
個人情報が記載されたものを扱う際にも、細心の注意を払わなければなりません。
ご依頼者様やご遺族様が必要としているものきっちり返納し、不要なモノは個人情報が流出しないやり方(シュレッダーにかけるなど)で対応していきます。
むやみやたらに汚染箇所を触る
むやみやたらに汚染箇所に触ることはタブーです。
腐敗液や血液など計画だてて清掃を行わないと、返って清掃箇所を広げてしまう恐れがあります。
特に注意すべきことは、絶対に汚染箇所を踏んではいけないということです。
もし、汚染箇所を踏んでしまいその足で部屋中を歩き回ると、お部屋全体に腐敗液が広がってしまいます。
作業の都合上、やむを得ない場合には、靴を替えたりシューズカバー利用したりして対策していきます。
現場で大声を出す
皆さんは、お葬式現場で大声を出している人を見かけたらどう思いますか?
あり得ませんよね。
特殊清掃現場も同じです。
私たちの仕事は、単にお部屋を綺麗にするだけでなく、故人様が安心して天国に旅立たれるためのお手伝いをするお仕事でもあります。
いわば、お葬式屋さんのと同じ類のお仕事です。
そのような場所で、大声を出すということは論外としか言いようがありません。
許可なく写真や動画をSNSに公開する
許可なく写真や動画をSNSに公開することはタブーです。
インターネットやSNSが発展してきている現代では、気軽に写真や動画を投稿できるようになりました。
自社の魅力をアピールするために、現場の写真を次々アップロードする会社が増えましたが、中にはご依頼者様の許可なく撮影している会社もいると耳にしました。
もし撮影したい場合には、必ず許可が必要な方と事前に話し合いましょう。
また、特殊清掃現場は本来、故人様が最期を迎えられた神聖なる場所です。
必要以上に撮影するのは控える必要があります。
現金や貴重品を盗む
現金や貴重品を盗むことはタブーです。
現場の家財は相続人や管理会社など権利者のモノになるため、特殊清掃という仕事以前に単なる犯罪です。
ただ、お片付けをしているときに現金や貴重品が出てくることはよくあります。
もしそのようなものが出てきた場合、どのように保管や対応するかを事前に家財の所有者と話し合い決めておくことが大切です。
まとめ:タブーな行動を避けて正しい孤独死対応を
今回は特殊清掃に関わるタブーについて、様々な目線でお伝えしてきました。
孤独死はある日突然に訪れてくるため、対応が急遽必要になります
そのため、対応方法がわからず良かれと思い行ったことも実はタブーだったリもします。
もし、孤独死が起きて対応方法がわからない場合には、特殊清掃業者に相談することも1つの手段です。